« ファンロード・ゲゲボ・コンテスト2008 ミステリ部門その1 | トップページ | 「ロック・ユー!」 »

ファンロード・ゲゲボ・コンテスト2008 ミステリ部門その2

 ――思い通り!!
 真犯人は心の内でほくそ笑んだ。
 最初は下呂崎遼樹に推理をさせる予定だった。しかし、下呂崎がいないとは予定外だった。だが、王林憲司郎がいた。目立たない存在のくせに自己顕示欲が強い王林が。そこで一旦、注目を集めるために、王林を突き飛ばした。狙い通り、王林に注目が集まった。後は下呂崎の代わりを王林に務めさせるだけだった。予想通り、ここぞとばかりに推理を働かせ、私の用意した答えにたどり着いた。
 全て計画通り……。

 一瞬の静寂の間に、涼やかな声が響いた。
 「王林さんの推理が残念です」
 声の主に視線が集まると、そこには帽子姿の女の子がいた。
 「あっ!! 君はさっき、会場をのぞいていた……」
 「青葉ミルミル君、今、到着したのかい?」
 「えっ、知ってる人なんですか?」
 オロオロする小吉にKが言った。
 「そうだよ、青葉ミルミル君だ」
 「すみません、ちょっと遅刻しちゃって中の様子をうかがっていたんです。でも今までの状況は把握してますよ」
 と、青葉ミルミルは帽子を脱ぐ。
 「それで、残念とは? やっぱり王林君の推理は外れているのかい?」
 「やっぱりってKさん……」
 王林の悲しげな声をKは無視する。
 青葉ミルミルは、頷いて続けた。
 「毒は紫田拓さんの料理にのみ、いれられたのではありません。おそらく毒は、今日の料理全てに含まれているんですよ。紫田拓さんが日常使用している筋肉増強剤にのみ反応する毒が。つまり、私たちは何を食べても安全ですが、紫田拓さんは、何を食べても毒に苦しむことになっていたんです。こんな細工をできるのは今日の料理のシェフ、苦労田彰正さんだけです」
 一同は息を飲み、苦労田彰正に視線を向ける。
 「何を血迷い言を…、よりにもよって私を犯人扱いとは……。証拠があるのか?」
 「あります」
 一同は再び息を飲む。
 青葉ミルミルは、テーブルの上に置かれた薬瓶を指差した。
 「警察は、薬瓶の中身を調べるより、指紋を調べた方が良いんじゃないですか?」
 「指紋?」
 「その薬瓶から狂元さんの指紋が出るんですか? 苦労田彰正さん、あなたの指紋しか出てこないんじゃないですか? となれば当然、薬瓶に触ったのは苦労田彰正さん、あなただけと言うことです」
 「馬鹿な、犯人が自分の指紋を消すのは当り前じゃないか。狂元の指紋が薬瓶から出なくても、少しも不思議ではないはずだ」
 「××で××な格好をした狂元さんが、どうやって自分の指紋を拭き消すというのです? それに薬瓶自体を処分する方がはるかに効果的なのに、薬瓶自体を処分もせずに、指紋だけを消す? それこそ血迷い言です」
 「しかし、私には動機がない」
 「言い訳が残念です。動機がないから、犯人じゃないと主張するつもりですか? 動機なき殺人なんて、世の中にいくらでも存在するじゃないですか。その薬瓶にあなたの指紋しか残ってないなら、それはたった今、狂元さんの荷物の中にあなたが紛れこませた証拠です」
 「それに動機なら、僕がわかるよ……」
 Kが言った。
 「苦労田さん、あなたはかつてFRのマイキャラに投稿していたと言ったね。それなら、常連の紫田拓君に恨みを持っていても不思議はない。かわいい女の子の絵で載るならまだしも、筋肉ムキムキの絵で常連の座を得た紫田拓君は、特別に恨みをかう存在であったはずだ」
 「ふっ、ふふふ、その通りだ!!」
 「自分が犯人だと認めるんですね?」
 苦労田は取り出した注射器で、近くの皿にあったスープを吸い取った。
 「…何故、あっさり自白したかわかるか? 俺には確実におまえら全員から逃げる自信があるからだ!! 数えきれない食材・薬物を精密なバランスで配合し、特殊な味付けを施して煮込むこと七日七晩!!」
 そして自らに注射する。
 「血液や尿からは決して検出されず、なおかつ全ての薬物の効果も数倍…、血管から注入(たべ)ることでさらに数倍!!」
 苦労田彰正の体が怪物的に膨れ上がり、膨張していった。
 「これが…、長年にわたる研究の結果たどりついた…、俺の究極の料理!!」
 今や怪物と化した苦労田彰正が、得意げに宣言した。
 「ドーピングコンソメスープだ…、…さあ諸君、俺が逃げるのを止められるかな…?」
 一同は悲鳴を上げて、退いた。
 小吉が誰に抗議しているのかわからない叫びをあげた。
 「も、元ネタ通りの展開だなんて、パクリと言われるのが怖くないのかーっ!?」
 パクリ? オマージュですとも!!
 だが次の瞬間、苦労田の顔面が苦痛にゆがみ、悲鳴を上げた。
 「ひえ~!! か…体がしぼんでいく~っ!!」
 苦労田の体が言葉通り、空気の抜ける風船のようにしぼんでいった。
 注、これもオマージュです。
 苦労田の体は、元の姿よりも小さくなってしまった。
 そのまま苦労田は、床に倒れ伏し白目をむき痙攣する。
 「これは一体……!?」
 と、混乱する一同を代表するようにKが言った。
 「僕ですよ! 僕が苦労田のスープの中に、この薬を混ぜたんです!」
 と、王林がテーブルの上に置かれていたはずの薬瓶を手にして、かざした。
 「王林君! いつの間に!?」
 「いや、普通に前を通って、混ぜたんですけど……」
 「さすが知名度0。普通に気づかれなかったんですね……」
 小吉の言葉に毎度毎度の抗議をする王林だった。
 「本当の意味での汚名返上だ、頑張ったね」
 やがて、やって来た警察が苦労田を引き立てて行った。

 紫田拓は、元々の体力が強かったためか病院で回復した。 
 そして、狂元弘明は猥褻物陳列罪で禁固一年の刑に服することになった。
 青葉ミルミル「こればかりはどうにもなりません。残念です」

 (おわり)

 書き終わって、反省をすると、新しいアイディアがないなあ、という点です。
 (あえて言えば、青葉ミルミルだけ)

 そこでパロディなど入れてみたのですが、やはりネタが新しくないなあ、と。

 と言うわけで、まあ、落選したところで、ガッカリをしないのですが……、

 それでも、やっぱり

 応募だけはしたかった……

 皆さん、本当にこういうヘマはしないように……。

|

« ファンロード・ゲゲボ・コンテスト2008 ミステリ部門その1 | トップページ | 「ロック・ユー!」 »

創作」カテゴリの記事

コメント

FRでの中間発表で、ちょっとくらい締め切りすぎても云々って
Kさんが書いてたような…もう済んだ話ですが

ミルミルさんは帽子の女性ですかー
かく言う私もえ?この人女性なの?って感じで送りましたけども
ちなみに失礼にも登場人物全員ひっでぇ~目にあってます
中間発表の所に載ってたから多分不採用ですね(笑)

投稿: 応募者 | 2008年3月17日 (月) 19時05分

 イヤ、本物の青葉ミルさんは男性ですよ。

 でも、青葉ミルミルは架空の人物だし、辻褄も合わなくなるので「ま、いっか」と(笑)。
 それで控え目に、ただ「女の子」としておいたのですが、今考えれば開き直って思い切り「美少女」とするか「女の子と見紛う、美少年」とかするのも手でしたね。

 出さなかったので、どうでも良いのですが。

 それにしても、ちょっとくらい締め切りすぎてもオーケー……?

 それこそ、ちゃんと見ておけば良かった。

 「応募者」では、誰かわかりませんが(笑)、採用されると良いですね。

 

投稿: 河合郷広 | 2008年3月17日 (月) 21時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/446090/10121710

この記事へのトラックバック一覧です: ファンロード・ゲゲボ・コンテスト2008 ミステリ部門その2:

« ファンロード・ゲゲボ・コンテスト2008 ミステリ部門その1 | トップページ | 「ロック・ユー!」 »